几帳ができるまで

几帳の文様には

1.そのお寺が起案した独自の文様(とめ柄)
2.汎用的な文様

があり、1.は他のお寺用に使われることはありません。そのお寺に由来のある文様などをある程度デザイン化して几帳に描きます。唐招提寺の几帳を例にとってみます。

2種類の宝相華

金堂の几帳です。
2種類の宝相華(ほうそうげ:想像上の花文)が描かれています。

これは、金堂平成大修理の時に、金堂正面扉の金具の下から発見された創建時の彩色を調査し、再現された文様(下の写真)をもとにデザインされたものです。

この文様の発見については、ブログの「唐招提寺」にも書きましたので見てください。




再現された文様
唐招提寺「共結来縁」より














ところで、几帳はどこで取り扱っているのかといいますと、法衣や袈裟などを扱う法衣店さんがお寺に納められています。法衣店さんも数多くあるのですが、今回教えていただいたのは数多くの本山御用達、京都の老舗中島法衣店さんです。

京都では職人さんの分業が発達していて、図案をおこす、文様を染める、縫製する…など細かな工程にそれぞれ専門のかたがいらっしゃいます。それをまとめておられるのが法衣店さんです。

唐招提寺の几帳では、再現された宝相華の文様をもとに図案をおこしました。
その図案から版(和紙のステンシルのような感じの物でした)を作り、布に染めて確認、修正。この工程を何度も繰り返します。

いくつか途中の段階のものを見せていただきましたが、だんだんと繊細・優雅な文様になっていくのがよくわかります。




また、几帳をかける門の幅、布地の規格幅などを考慮して、それぞれ掛ける場所に応じたオーダーメイドで仕立てられていきます。

几帳に使われる布は麻、綿などです。文様は同じでも、大きな法要や行事の時に用いられる几帳は麻、普段かけられているものは綿と使い分けられているお寺もあります。
また、麻もいろいろなグレードがあり、しっかりしたものになるほど重くなるので、几帳を下げている棒がたわんだりしていろいろと調整が必要なのだとか。


唐招提寺の几帳もたわんでいるのがわかります。
重たそうです。



















唐招提寺講堂

唐招提寺講堂にかけられている几帳です。
こちらは汎用的な文様です。

桔梗でしょうか、かわいらしい草花文です。

こういった、お寺を特定しない汎用的な文様は、正倉院文様を図案化したものも多いようです。
この文様、もしかしたら他のお寺で見つけることができるかもしれません。













オリジナルの新しい文様が起こされるのは、そうそうあることではなく、あるとすれば大修理や大きな法要などのタイミングです。
たとえば唐招提寺では金堂の平成大修理の際、薬師寺では昭和51年金堂落慶の折に、新しい几帳になっています。

几帳の種類は1つのお寺に1種類のこともあれば、お堂によって使い分けをされていることもあります。特に決まりがあるということではないようですが、先に書いたように、麻と綿の几帳の使い分けはあるようです。

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