几帳の役割

几帳がいつ頃から何のために掛けられているのか、明確ではありませんが、建立当時から何かしらあったのではないかと思われます。

何のために几帳をかけるのかについてはいくつか考えられます。

1.お堂の日よけ、風よけ
2.お堂のご本尊が丸見えになるのを避ける目かくし
3.お堂の飾り
4.結界を示す(神社にかけられている几帳は特に)

何か一つ決定的な目的があるというよりも、複合的な理由なのではないかと思います。個人的には飾りということに興味があります。

牛皮華鬘(ごひけまん)という、古代インドで貴人にささげられた、生花で作ったレイのような飾りを起源とする荘厳具(お堂の飾り)があります(参考:奈良国立博物館収蔵品データベース

唐招提寺で聞いたお話では、講堂の扉や壁に牛皮華鬘をかけてお堂を飾っていたということです。
今も、お堂の中、上の方に金属製の華鬘がかかっています。

ありがたい、と思うものを大切にする気持ちの現し方として「美しくする」「飾る」というのは、とても自然だし、几帳の文様がお寺の家紋ではなく、象徴的な文様である、というところも飾りの意味合いを感じます。

もちろん日よけ、風よけという実用的な役割も大切です。
実際、興福寺の東金堂など西日が強く当たる几帳は、布地の変色なども激しく、風で布地同士が叩き合って痛みます。
その、日や風が直接お堂や仏様にあたることを考えると、几帳の果たしている役目はとても大きいと思います。

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