2014年5月5日月曜日

唐招提寺 続編

「奈良六大寺大観 唐招提寺」より
奈良
唐招提寺(http://www.toshodaiji.jp/
律宗

唐招提寺は(こちら)にもあります


以前の唐招提寺のブログ(こちら)で、「昔は鳳凰紋だった」と書きましたが、それが、この写真の几帳です。

小さくて分かりにくいかもしれませんが、右向きと左向きと二種類の鳳凰と花文様です。


この写真は、おそらく昭和40年代初期に撮られたものと思われます。

アップ~!


現在、法輪寺で使われている几帳(こちら)と比べると、鳳凰紋とお花の配置バランスは違いますが文様は同じもののようです。

古い図録や図書資料を見ていて、昔の几帳が載っている写真を見つけるのは、宝探しの気分です 笑

2014年5月3日土曜日

奈良 東大寺 聖武天皇祭

奈良
東大寺(http://www.todaiji.or.jp/
華厳宗

東大寺は(こちら)にもあります。

聖武天皇祭(毎年5月2日)

大きな法要のある時には、南大門にも几帳がかけられるということを聞いていましたが、今回、聖武天皇祭には、南大門に麻の几帳がかかるということで、見てきました。


人と比べてみると、圧倒される大きさですね。
さわってみたところ、たしかに麻のようでした。

伽藍中門の几帳は綿のものですが、こちら南大門の几帳は素材だけでなく、実はデザインも微妙に違います。















文様アップ
文様をアップにしてみると、鳳凰紋の間に小さな花紋と百合の花の文様があるのがわかります。





















中門の几帳
普段から中門にかけられている几帳にはお花の文様はありません。

やはり、素材だけでなくデザインもハレの日用なのですね。

以前の東大寺のブログ(こちら) に書きましたが…。

中門の几帳も昔は大きな行事の時だけにかけられていたそうですが、平成25年の1月から、日常的にかけられるようになったそうです。

几帳の取り外しは想像しても大変そうですが、一度作業の様子を見てみたいものです。



ところで、南大門から伽藍中門への道々、また、伽藍内部にもこのような幡(ばん)が飾られています。

とても大きなものです。
幡を吊り下げている飾りが竜になっていたりして、こちらもハレの日の飾りらしく華やかです。















垂れている部分をアップにすると、このような繧繝彩色のようなデザインです。

素材は麻の様です。

これ、見覚えが…

薬師寺の几帳のノスジと同じような色合いです!
薬師寺のブログは(こちら)

こちらの方が少し色合いが明るく見えますね。










戒壇堂入口
こちらは、東大寺 戒壇堂入口の几帳です。

広い境内ですので、戒壇堂あたりまでくると、人も鹿もぐっと少なくなります。













文様アップ~
こちらも鳳凰ですが、とてもかわいらしい、優雅な鳳凰紋です。

鳳凰が口にくわえているのは、何のお花なのでしょうか。

ノスジにも鳳凰と蝶が描かれています。

伽藍中門などの威風堂々といった感じの鳳凰と対照的に、女性的なやわらかい印象ですね。
おまけ…(聖武祭のメインですけど 笑)

こちらは聖武天皇祭の法要が行われる「天皇殿」の門にかけられている幕です。

天皇殿は通常は公開されておらず、この法要の時だけ参拝することができます。

天皇殿ですので、幕の文様は十六八重菊紋ですね。

(ちなみに「東大寺の家紋」というのはないそうです)



本堂には五色幕がかかっていました。仏教寺院であることを示す五色幕、色にはそれぞれ意味があります。

聖武天皇祭の時だけかけられる、専用の幕のようです。

生地には何かのお花の模様が入っていました。

(2014.05.12⇒職員の方が調べてくださり、牡丹ということが分かりました。唐草牡丹という柄が刺しゅうされています。生地は絹!です。どうもありがとうございました)

このような幕のかけ方を見ると、飾りであると同時に、結界という意味合いも強く感じますね。





奈良 法起寺



三重塔
奈良
法起寺(http://www.horyuji.or.jp/hokiji.htm
聖徳宗

聖徳太子ゆかりのお寺です。写真は国宝の三重塔(飛鳥時代)の入口にかかる几帳です。










図柄アップ~

図柄をアップで見ると…法隆寺の四天王紋と同じですね。

法起寺は法隆寺の管轄で、僧職の方も法隆寺から兼任でいらっしゃるそうです。
なので、場所は少し離れて名前も違いますが同じお寺、ということで几帳も同じものが使われています。


伽藍の配置が法隆寺とは逆になっていて、また、現在はお寺の西門が受付になっていますが、伽藍中門の跡などもあります。

時代を経て、失われた建造物の再建はとても難しいのだろうな、と感じました。




奈良 法輪寺

奈良
法輪寺(http://www1.kcn.ne.jp/~horinji/
聖徳宗

法輪寺は法隆寺の北に徒歩20分くらいのところにあり、聖徳太子ゆかりのお寺です。別名を三井寺(みいでら)ともいいます。

法隆寺式の伽藍に三重塔、ご本尊は飛鳥時代の薬師如来坐像で、鞍部止利の作といわれています。

講堂にかかる几帳は鳳凰紋と花文様です。文様自体は、法輪寺独自のものではありません。
一年を通して麻の物が掛けられています。

講堂の門は内開きなので、外からは扉は見えませんが、講堂の中に入ると、開けられた扉から、几帳を通して外のやわらかい光とかすかな風が感じられ、とても美しいです。

几帳の裾が、棒で固定されていますので、風にはためくことはなく、扉の役目を果たしているともいえそうです。


ご住職さんに、三重塔の扉の構造や、内部はどうなっているのかなど興味深いお話をたくさん教えていただきました。特別公開などもない三重塔の中には、平安時代の釈迦如来坐像と四天王像が安置されているそうです。昭和19年には落雷で火災が発生し、ご仏像と仏舎利を運び出されたそうです。

法隆寺の人波も、この辺りでは落ち着いて、ゆっくりと散策できました。